投資は"猿任せ"でいいのか? ー今だからこそ知っておきたい経済の話

投資は

2025年6月20日公開

投資の世界には、ちょっと信じられないような話があります。

それは「ウォール街のプロが選んだ個別株の銘柄のポートフォリオと、猿がダーツを投げて選んだ個別株の銘柄のポートフォリオで、最終的な成果はほとんど変わらなかった」という実験結果です。

これは1970年代に行われた、いわゆる「猿とプロの投資勝負」。

ランダムに選ばれた銘柄(つまり猿がダーツを投げて選んだ銘柄)と、金融のプロが経験と知識を駆使して選び抜いた銘柄との間の結果が、ほとんど差がなかったという話です。

これは私たちに大きなヒントを与えてくれます。

つまり――
投資において、個別銘柄でリターンを得る事はとんでもなく難しい。
ということです。

 

だからこそ自動的に分散投資ができる指数連動型のインデックスファンドが合理的な資産形成だ、と言われているのですね。

①S&P500や全世界株式(オルカン)は分散投資と言えるのか?

2025年現在、アメリカ経済は好調を維持しています。

労働市場は底堅く、個人消費も旺盛。FRB(米連邦準備制度)はインフレ抑制のために利上げを行ってきましたが、その効果が徐々に見え始めていて、今後の「利下げに向かうのでは」という見方も市場を支えています。

アメリカは依然として世界最大の経済国ですから、今後もテクノロジー、医療、エネルギーといった分野での成長が見込まれています。

投資を始めたばかりの方に人気のインデックスファンドSP500は、S&P社が選ぶ米国の500社へ投資をしているインデックスファンドですが、時価総額全体の30%をマグニフィセントセブン(Apple/Microsoft/Alphabet/Amazon/Nvidia/Meta/Tesla)が占めているというのは有名な話です。

また、こちらも大人気の全世界株式インデックスファンド(オルカン)でも、約2500社のうち、この7銘柄が18%を占めています。

 

実際に、2023年・2024年は「マグニフィセントセブンが無ければ、S&P500はほぼ横ばいだった。」と言われているほど、S&P500への寄与度が高い銘柄群です。

逆を言えば、この7銘柄が下落局面に入ることでS&P500やオルカンの指数全体が大きく沈むリスクもあります。

 

マグニフィセントセブンの7銘柄はハイテク株です。

インデックスファンドの組入比率というのは、時価総額(株価×発行株数)の大きさで決まりますので、時価総額が大きい企業ほど、ファンドの中でのウエイトが高くなるのです。

本来インデックスファンドというのは、「広く分散を効かせた指数」のはずですが、実態としてはハイテク7銘柄に偏重しているといえます。

日本の投資初心者の多くがS&P500やオルカンに投資をしていますが、実は知らず知らずのうちに「米国ハイテク株への集中投資」をしている状態になっていると言えます。

ハイテク株がさらに成長すれば、恩恵を受ける事も出来ますが、ひとたびバブル崩壊や調整が起こった時にはダメージも大きくなります。

最近では、トランプショック時にも大きく株価が下落したことは皆さんの記憶にも新しいことでしょう。

 

長期投資を成功させるキーワードを覚えていらっしゃいますか?

「長期」・「積立」・「分散」でしたね。

 

この「分散」の部分を今一度考えてみる時期かもしれません。

単純に時価総額の多寡に頼らず、明確なルールを持って銘柄選択を行って分散投資をしている投資信託に目を向けてみる事も必要です。

②世界経済の見通しと日本の立ち位置

世界に目を向けると、米中関係、欧州の景気鈍化、新興国の成長ペースなど、多くの要素が複雑に絡み合っています。

注目すべきは、インドやASEAN諸国の人口増加と消費の伸び
こうした新興市場がこれからの世界経済を牽引していく可能性は高く、投資先としても無視できません。

日本にとっても、これらの地域との関係強化は重要なテーマです。

少子高齢化が進む中で、外需を取り込むことは今後の日本経済の活力維持に欠かせません。

③インフレは敵か味方か?

インフレというと「物価が上がって困る」というイメージがあるかもしれません。しかし、長期的な視点で見ると、インフレは資産価値を押し上げる力にもなり得ます。

例えば、インフレが続くと預金の実質的な価値は目減りしますが、適度なインフレとその国の経済成長が伴うと株式は価値が上昇する傾向があります。

だからこそ、インフレに強い資産(=成長する企業に投資する株式)をポートフォリオに組み込むことが大切なのです。

④"猿のダーツ"から学ぶ投資の本質

話を最初に戻しましょう。

プロと猿の投資結果が似ていたという話から分かるのは、個別銘柄の目利きに頼って短期の成果を目指すよりも、全体に分散して長期で投資するほうが、結果的に合理的だということ。

NISAや企業型DC(401K/個人型のiDeCoは、まさにそのための制度です。税制優遇を活かしながら、世界経済全体の成長を取り込む――
このスタンスが、皆さんの将来の資産形成において大きな力となります。

⑤最後に:市場は”予想”できない。だからこそ”設計”が大切

短期の相場は誰にも読めません。明日、株価が上がるか下がるかを確実に予測できる人など、どこにもいないのです。

「必ず儲かります。」というのは間違いなく詐欺案件です。

結果を焦って、そのような詐欺案件に引っかからないように気を付けてくださいね。

 

相場を予測することは出来なくても、未来のライフプランやゴールを見据え、資産運用の設計をすることは可能です。

私達は、NISAや企業型DC(401K)を活用した長期分散投資のアドバイスを通じて、お一人おひとりの人生設計を支援しています。

「猿のダーツ」に頼らず、「計画」と「戦略」を持った投資を。
それが、将来に希望を持てるお金の育て方です。

【締めの一言】

ご不安なことや、ご自身の資産運用の見直しなど、気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

皆さまの未来の安心と豊かさのために、これからも私たちが伴走してまいります。